今年の向田賞
今日は朝から、向田邦子賞の選考会。
選考委員は今年で5年目。初めて選考委員を務めた時は、まだ早坂暁先生や、山田太一先生や、市川森一先生がいらして、私だけ思いっきり場違いな存在だったが、今は、選考委員長が池傍俊策先生、筒井ともみ先輩、それに岡田恵和さん、大森寿美男さん、と私の、個性バラバラという意味でバランスのいい5人。
体調不良ながら、絶対休めないと思って出かける。
一昨年の井上由美子さん「マチベン」 VS 中園ミホさん「ハケンの品格」の時と同じくらい、選考会は紛糾した。
古沢良太さん「ゴンゾウ」 VS 前田司郎さん「お買い物」
どちらも優れた作品だが、あまりにもタイプの違う作品で、優劣つけがたく、何時間も議論が続き、朝からグッタリ疲れた。
細かいことを書くと、もう何十枚にもなってしまいそうなのでヤメておくが、受賞作は「ゴンゾウ」の古沢良太さん。受賞理由は、
「刑事ドラマであり、連続ドラマであり、さまざまな制約があったであろうと思われますが、その枠組みの中、作家どしての挑戦を感じる作品でした。達者な構成、はりめぐらされた伏線等、視聴者を楽しませることに心血を注ぐ精神とセンスは受賞に値すると判断いたしました。今後、違うジャンルへの挑戦を含め、テレビドラマの脚本家としての更なる飛躍を期待します」
岡田恵和さんが書いた、胸にしみる受賞理由である。
受賞者が到着すると、NHKの記者クラブで、わたし達も一緒に記者会見。
古沢さんは35歳で、いかにも繊細な感じの作家。色が白く、スラリとした体型で、指がひときわ長く、なかなか人と目を合わせないシャイな感じ。
すごい才能の持ち主だが、その初々しさに言葉を失う。
選考委員の仕事は苦しいが、こういう場面に立ち会うと、わたしも負けずに書き続けたいとは思う。
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