異なる意見
今日の昼間、『大下容子ワイド!スクランブル』に元厚労省医系技官・木村もりよさんという医師が出演していた。木村さんの意見は、要約すると以下のようなことである。
――新型コロナウイルスによる死者が1万人をはるかに越えているイタリア、フランス、スペイン、アメリカに比べて、日本の死者は31人。
この死者の少なさは奇跡的な少なさで、日本の医療水準の高さがわかる。
集団免疫が出来なければ事態は収束しないことを考えると、日々感染者が増えるのは当然で、感染者が増えるのに死者(及び重症者)が少ないのは、日本の医療がうまく行っている証拠である。
今この時点で、経済活動を止め、困窮する人を増やしてまで、緊急事態宣言を出すことは理解できない――
とても説得力のある説明だし、一つの見解だと感じたが、国の方針を批判することは絶対にしないワイドショーのコメンテーター達は、焦ってこの人に反論。司会者チームも真っ青。
コメンテーターは“毎日200人が肺炎で死んでいる。その人達を全部PCR検査したら、新型コロナウイルスに感染していたかもしれず、死者の数はもっと上がるはずだ”と同じことを幾度も繰り返して反論していたが、木村さんは“海外も肺炎で死んだ人のPCR検査はしていない”と反論していた。
いろいろな意見があるのは当然で、違う意見を紹介するのもニュースショーの大事な仕事である。国民には知る権利があるからだ。
事前打ち合わせがあったかなかったかはわからないが、この人を出演させたことは、この番組の英断だと思う。にもかかわらず対応するコメンテーター、司会者陣の動揺が、逆にワイドスクランブルが国の御用マスコミになり下がっていることをあらわにしているように、私には見えてしまった。
最後に男性アナウンサーが、「面白い議論でしたね」とケアーしていたのが唯一の救いだったけれど、この視点で、もっと話し合って欲しかった。国の対策本部に入っている感染症の専門医師と、木村医師はなぜこのように意見が異なるのかも、知りたかった。
大下容子さんには連続ドラマ『トットちゃん!』のナレーションを担当していただき、イベントでもご一緒し、ワイドスクランブルにも私は出演したことがある。大下さんはとてもステキな方だし、ワイドスクランブルのスタッフもスタジオもよい雰囲気だったことを思い出すと、批判的なことは言いたくないが、常に権力を監視するまなざしを忘れなで欲しいと、祈るような気持ちになった。
そんなこと、ニュースのプロ達はみんなわかっているはずなのに・・・。
正解か誰にもわからない時、大勢と違う意見を言う人を、同調圧力で魔女扱いしないようにしなければならないと感じた。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.5012.jp/ohishi/cgis/mt-tb.cgi/1073