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2010年04月 アーカイブ

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市川先生のコメント

先日のETVスペシャル、いろんな方が見てくださって、様々な反応があり、とてもうれしかったです。
ご覧下さった方、ありがとうございました。

私もOAで初めて見たのですが、市川森一先生のコメントがとても心に残りました。
「テレビ創生期の頃は、プロデューサーもスタッフも脚本家もみんな素人だった。だからドラマの世界では、既存の小説を原作にしてドラマを創った。
そのうちみんな力をつけて、テレビドラマをオリジナルで立ち上げることが出来るようになった。そして数々の名作が生まれた。
しかし、昨今また原作ありきのドラマ創りになりつつある。
それは再び、みんなが素人になってしまったからではないだろうか。」
簡単にまとめれば、こういうことなのですが、まったくその通りだと思いました。
プロデューサーも企画を考える時、自分の心に、何が面白いのか? 何を描きたいのか? を問う前に、本屋で原作を探すようになっています。それではプロデューサーも育たないし、脚本家も育ちません。
昨今、脚本家の世界は、お相撲の世界のように新人が育ちにくくなっているように感じます。
夢のある場所に生きていたいと思うのですが・・・。

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天才の死

春は別れの季節だと3月25日に書いているが、桜が満開になり、あの世とこの世が近づいたような気がした瞬間、何度も連載エッセイでコンビを組んだイラストレーターの阿部真理子さんが逝った。
突き抜けた才能の持ち主だったので、天才は長生きできないんだな~・・・としみじみ思う。
亡くなる1ヶ月前に、一緒に連載していた時のイラストの原画が、「いつも誉めてくれてありがとう」という短いメッセージとともに送られて来た。
原画を手離すなんて不思議だと思ったが、死の病だとは想像もしなかった。
あれはお別れだったのね・・・。
このページの2009年8月12日に、送られて来たイラストが載っている雑誌のページを、くしくも私は写真に残している。
よかったら見てみて下さい。
くわしいことは5月初旬に発売される婦人公論の連載に書いたので、そちらで読んでいただきたいのだが、年齢的にはかないとは言え、現役として最高潮の時にさっと逝ける人はカッコイイ。
井上ひさし先生も、今まさに蜷川演出で新作の稽古中の死。
巨人軍の木村拓也コーチも去年まで現役で、今年コーチになりグラウンドで倒た。
私もそんな風に幕を閉じたいものだと、心から思う。
どう死ぬか・・・いつも考えているけれど、こればっかりは、私が踏ん張ってもどうにもならないからな・・・。

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テレビ出演のお知らせ

4月11日(日)22時よりNHK教育テレビでOAするETV特集に出演しています。
各分野のスペシャリスト3人による鼎談シリーズ『トライアングル・トーク』の第一弾として、中園ミホさん、田淵久美子さんとともに・・・「脚本家の仕事とは?」「日本のドラマづくりの現状」などのテーマを、90分にわたって語りました。
1ヶ月前に収録しましたが、なかなか深い話も出来たと思ってます。
3時間以上回して90分の放送すから、どういう編集になっているかわかりませんが・・・。
よかったら見てね。

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ベランダの椿


ベランダの椿が満開だ。
花の寿命の短さは桜と同じだが、椿には桜のような狂気がない。
桜はとんがっているが、椿は穏やかだ。
私が生まれた家には、椿の木が沢山あった。
今思えば広い庭だったな・・・。
この先、庭のある家に住むことなんかないだろうと思うと少し寂しい。
生家の椿は父が丹精したものだった。
今ベランダにあるのも、その中の1本で、つぎ木したせいか、赤い花と赤白まだらの花が1本の木に両方咲く。
引っ越しのたびに、この1本だけは一緒に移動して来た。他の木はみんな見捨ててしまったけれど・・・。
満開のまま、ポトンと落ちる椿の花を拾い、水をはった皿に乗せる時、命の最期は美しいと感じる。
人の命の終わりは必ずしも美しいとは言えないから、だから椿の最期に惹かれるのかな?

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