勝負のセリフ
「美しい国、日本」というキャッチはずいぶん空疎でずれてるなあ、と思うのは、私だけではないと思う。
新首相は所信表明演説の中で、得々としてこのキャッチフレーズを8回も口に出し、今朝もたまたまテレビで代表質問の答弁を見たら、何かにつけて、「私の言う美しい国とは」と言っていた。
空疎なだけでなく、何となく子供っぽい。勝負のせりふというのは、ここぞという時にだけ使うものだと思うのは、私が脚本家だからだろうか。
私が尊敬する日本のシェークスピア、菊田一夫先生は「一番訴えたいことは3回書け」と仰せになったそうだ。それも同じことを繰り返すのではなく、形を変えて3回である。
同じことを何度も繰り返したら、相手がどう思うだろうか? 飽きられないだろうか? 安売りにならないだろうか? と、あれこれ考えてこそ、オトナというものだろう。
欲しいものを何度も言ってゴネ続けていれば、親が買ってくれると思ている子供のようで情けない。
私達もの書きが、あのような原稿を書いたら、編集者にも、プロデューサーにも突き返されるだろう。
官僚が書いたのか、首相のスタッフが書いたのかわからないが、一国の総理が、あんな空疎な演説原稿を得々として読んでいるのは、心底寂しいと思った。
返す刀で民主党の小沢党首だけれど・・・。
自民党を離党してからの小沢さんを、私はずっと支持して来た。小沢さんのいる党に投票して来た。
しかし、このタイミングでの入院はどうだろう。代表質問に出て来られないのは、相当悪いと思われる。
民主党というのはタコ部屋のようなもので、自民党より結束がない政党だから、体力気力がなければ、率いることは難しいに違いない。このタイミングで倒れる小沢さんは、結局ここまでだったのかな、とも思ってしまう。
“豪腕”と言われ続けた人だけれど、 “豪腕”と言うなら、自民党をぶっ壊すと言った前総理の方が、恐ろしいほど“豪腕”だったような気がする。
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