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2016年06月 アーカイブ

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14歳の少年3人

千葉県市原市で14歳の少年3人が、公園施設内の池の鯉を水から出し、棒でつついたり、なげつけたりしていたぶり、20匹のうち何匹かが死んだと、テレビのニュースでやっていた。
監視カメラに残された3人の少年の、飛び跳ねながら地面に鯉を投げつけたりする姿が恐ろしい。
逮捕された少年の1人は「やっている時は面白いと感じましたが、今思えば悪ふざけが過ぎたと反省している」と言っているそうだ。その言葉の中に、かわいそうなことをしたというニュアンスはない。逮捕されちゃったからヤバイことしたんだと気がついた、というだけで、傷つけたものへの想いは皆無。
残忍な衝動を抑える遺伝子が欠落しているような子供が多いと思う。これは教育の問題だけでなく、DNAレベルで子供の体に異常が起きているという気がしてならない。
命あるものを食べて生きるのが人間ではあるし、鯉も食べる時は食べるけど、この話は心の底からイヤだな・・・と思った。

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最終回を終えて・・・。

『コントレール 罪と恋』をご覧下さった皆様、ありがとうございました。

主題歌が「天と地がひっくり返っても」と歌い出しているように、天地がひっくり返るような常識を打ち破る恋愛を描きたかったのですが、なかなか難しかったです。
命を削る想いで精一杯やりましたが、放送を終えてから、ふとこれでよかったのかな・・と考えてしまう瞬間もあります。
この企画を考えた当初は、文と瞭司を一緒にする予定でした。
佐々岡と結婚する予定もありませんでした。
最初の構想では、佐々岡がしぶる子供を、「お母さんの想いを許してやれ、お母さんをしあわせに出来るのは、友樹しかいないんだ」と説得し、子供も文とともに瞭司の元に向かう。ラストは『幸福の黄色いハンカチ』みたいに終りたいと思っていました。
でも、書いているうちに気難しい子供のキャラが一人歩きし始め、私の構想を越えて動き出しました。つまり、この子供が瞭司になつくことはないと思い始めたのです。
子供から見れば、瞭司は不可抗力とはいえ、父の命を奪った男です。そのことを文も瞭司も、そして子供も乗り越えられないと感じました。(この部分は、文のセリフにもしています)
それと私に子供はいませんが、いかなる理由があろうとも、子供を捨てる母には共感できません。ドラマでも、そういうヒロインは描きたくないと思ってやって来ました。不倫の恋はやむなき場合もありますが、子供を捨てる母は許容できません。
文の瞭司への想いは深いですが、子供を捨てて瞭司に走ることは、私の中で納得できませんでした。たとえ佐々岡や姑が子供を預かると言ったとしても、捨てることに変わりはありません
プロデューサーとも監督とも、何とか文と瞭司を一緒にする方法はないかと、頭をひねりましたが、文の生きる道は、私の中では、あれしかなかったのです。
誰かが死ぬと言う解決方法もありますが、1話の冒頭にあれだけ悲惨な事件を描いているので、これ以上人が死ぬのもイヤでした。
人生は思うように行かないもので、果たせなかった想いを抱えて生きている人も、実際に多いと思います。そんな苦い終り方を選択しました。
でも一点、無念なのは、瞭司は文と出会って声を取り戻し、生きる力を取り戻し、弁護士に戻りました。文のことは残念でしょうが、瞭司のこの先の人生は順風満帆な気がします。
文のことも、人生の一時期のステキな出来事として完結しているかもしれません。
ラストシーンの新さんの芝居は、そういう解釈の芝居だった気がします。割り切った表情をしていましたから。
佐々岡もあらゆることを飲み込んだ上ではありますが、想い続けた女と結婚し、共に年を取って行けることは無類のしあわせでしょう。時々イラッとすることもあるかも知れませんが、万々歳だと思います。
そう思うと、ヒロイン文だけが割り切れない想いを抱いて生きて行くことになり、そこだけが
無念な気はしています。
ラストシーン、道路を隔てた道ですれ違った2人が、お互いに気づき、走り寄るという芝居も最後まで検討されましたが・・・やめました。
ラストシーンの撮影は日没に追われ、最後の方は沈む陽との競争のようでしたから、もう1パターン撮ることは、結局不可能だったのですけど・・・。
そのくらいギリギリ最後まで、みんなで悩みぬいた結末だったのです。
次の仕事に入っているのに、こういうことを考えるドラマは初めてです。苦労したドラマだったのだな・・・と改めて思いました。

今は7月13日から放送する日本テレビの『家売るオンナ』を書いています。
恋愛線ゼロの、笑えるお仕事ドラマです。
お子さんにも楽しんでいただけるようにと思って書いています。
ぼちぼちこのページでも宣伝しますので・・・。
主演の北川景子さん、スゴイ美人です。そんなことは誰でもわかっているんですが、近くで見ると、ドキッとしてのけぞるほど、美しいですよ。
仲村トオルさんは3回目のお仕事ですが、手足が長く、感じがよく、芝居も安定感抜群な上、ユーモアのセンスもあり、素晴らしい俳優さんですね。
『家売るオンナ』は『コントレール』とは対極にあるドラマで、私の違う側面ですので、ぜひご覧ください!

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ピーター・シェ―ファー逝く

今朝の新聞で、劇作家、ピーター・シェイファーが90歳で亡くなったことを知った。
30歳くらいから10年に1本のペースで、世界的大ヒット作を、発表して来た劇作家だ。
『ブラック・ユーモア』『エクウス』『アマデウス』は私も見ているし戯曲も読んでもいる。
舞台版『アマデウス』のラスト、サリエリの台詞に「これからわたしが、才能なきゆえに苦しく者の守り神となろう」というのがある。
ちょこっと才能があるがゆえに、天才と自分との差に苦しむ者の、守り神になろうということだ。
30歳そこそこだった私は、この台詞に涙した。
多分、ちょこっとした才能は私にもある。だからつき抜けた人に嫉妬を感じる。あの頃の私の気持ちにピッタリの台詞だった。
また、この人の「人間は感動することによってのみ変化する」という言葉は、私の座右の銘でもある。
教室でも戦争の悲惨さは教えられるが、映画や芝居やテレビを見て涙を流した時、人は本当に戦争の恐ろしさを知る。私達の仕事は尊い。と真正面から言っており、若い頃、驚いた。
日本人はシャイで、こういうことは思っても言わないもの。それを堂々と言う欧米の感覚が新鮮だった。
天才的劇作家とはいえ、欧米の作家は名作を1本書けば10年生きられる所が、たまらまくうらやましいと、ずっと思ってもいた。
1年休んだら忘れられてしまう私達は何なのかな・・・。
ご冥福をお祈りします。

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