秘境の旅
今、中国にいる。
中国と言っても実に広い。
北京とか上海なら3時間もあれば行けるのに、私が今いる場所は、東京から飛行機と車を乗り継いで17時間もかけて来た昆明という町だ。中国の秘境と言われている雲南省である。
紀元前に長江の上流にあった文明が、日本の稲作文化のルーツではないかということを探る旅だ。 私は都会が好きで、美しい自然よりビルの谷間の方が落ち着く人間だが、中国の秘境になんか仕事でもなければ一生行かないだろうと思って、NHKの「夢の古代文明紀行」という番組の中国編のナビゲーターを引き受けた。
今抱えている仕事のプロデユーサーは、何やってんだと、このページを見たら怒るだろうな~・・・と思いつつ・・・中国のいろいろな意味でも凄さ、恐ろしさをお伝えしたく・・・書いている。、
昨日は、雲南省に今も伝統を守って生きつづけている少数民族のひとつ、ワ族の若者を取材。今日は、昆明から更に車で2時間奥地に入って、イ族の村を訪ねた。
ワ族は今でも、赤と黒の民族衣装を着て、日本の弥生時代を思わせる高床式住居で暮らしている。ワ族の若者は女も男も容姿端麗で色が黒いことが美男美女の条件だそうだ。女は黒い真珠、男は黒い馬に象徴されると言い、男の子はジャニーズ事務所にでも入れそうな顔をしていた。
イ族は青と白の民族衣装を着て農業を営んでいる。どの家にも牛がおり、鶏がおり、お客が来ると鶏をしめてもてなすそうだ。機械化されるずっと前の日本の農家と似ていると感じた。
ワ族もト族も、黄河の方(つまり中国の北側)の漢民族の勢力に押されて南下して来た稲作文化の人達で、紀元前にその文化が日本に伝わり、日本に稲作が根付いたのではないかという説もあるらしい。
日本に邪馬台国が出来、卑弥呼が登場するよりずっと以前の話である。
古代文明の頃の暮らしを今も残している少数民族の暮らしを目の当たりにすると、何千年の歴史も、何千キロの距離も越えてしまう悠久の中にタイムトリップしてしまい、自分が日本人で、どの時代に生きているのかもわからなくなるような不思議な感覚を抱いた。こういう気分は生まれて初めてだ。
何度も言うが中国は広い。上海の繁栄と雲南の秘境が同じ国とは思えないもの。
今も古代とさして違わぬ暮らしをする人の田んぼのど真ん中を、ものすごく広い高速道路が突き抜けており、近代的なガソリンスタンドの裏にあるトイレが、穴掘っただけの、囲いも布で風が吹いたら丸見えみたいなトイレだったり、中国の繁栄の歪みは明らかに感じる。不思議な国だ。
苛酷な旅はまだまだ何日も続くが、夜このページを更新する余力があったら、また書いてみるので・・・今日はこの辺で・・・。
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