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吉兵衛の最期

武田鉄矢さん演じる五藤吉兵衛が死ぬシーンを、今日撮影し、武田さんの出番は終わった。
主役クラスの撮影終了の日は、私もスタジオに行って、お別れをすることにしている。
吉兵衛は、一豊に手柄を立てさせようと、敵城の城壁を登り、一番乗りで敵城に入るが、大勢の敵に囲まれて討死する。一豊らもすぐに追いつくが、一豊の目の前で吉兵衛が何本もの槍に刺し貫かれて倒れる。
私がNHKに着いた夕方頃は、その戦闘シーンの撮影真っ最中。そして武田さんがセット直しの間に、体に槍が刺さったままスタジオから出て来て、タバコを吸っていた。「座れないんだよね」と言いながら、立ったまま、槍に刺された吉兵衛が、タバコをふかす姿は結構笑えた。
一豊に抱きかかえられ、吉兵衛が息絶えた後、「功名が辻」のテーマ曲が流れて、お別れセレモニーとなる。いつもはチーフ監督が花束を渡すのだが、今日は一豊役の上川さんから、武田さんへお疲れ様の花束が渡された。
収録中から滂沱の涙だった上川君だが、お別れセレモニーになっても涙は止まらず、下を向いているのがかわいいというか、いとしいというか・・・。彼を見ていたら、私もいきなり寂しくなった。
去年の八月の猛暑の中、始まったロケから八ヶ月、一豊と前田吟さんの新右衛門とは、本当に毎日顔をあわせていたのだから、気持ちもわかる。
演技とはスキンシップなのだということが、改めてよくわかった。激しい感情のやり取りは、別にラブシーンのように抱き合ったりしなくても、肌を触れ合うような親しみを心の中に育てる。
私も遠い昔、落ちこぼれの女優志願だったことがあので、少しわかるのだ。
上川君の涙を見て、遠い昔を、オオイシも思い出してしまった。
武田さんの存在が、このドラマでは実に重かったことも、よくわかる。「お世話になりました」と、武田さんがスタジオを去ると、みんなシ~ンとしてしまったのだから・・・。
本能寺の後の、にぎやかで派手なお別れセレモニーとは一味違う、しんみりとした胸迫るお別れセレモニーだった。
とは言え、これから家康の西田敏行さん、三成の中村橋之助さん、ガラシャの長谷川京子さん、淀の永作博美さん、康豊の玉木宏さん、秀次の成宮寛貴さんらが活躍するので、見て下さいね、最後まで。
私の脚本執筆も、残り数本になり、先の仕事の打ち合わせも始まった。
時間が経つのは、本当に早い。

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