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14年目

『四つの嘘』のDVD、出ました! 
よろしくお願いします!

今日は、阪神淡路大震災から14年目。
14年前の初夏の頃、NHK大阪放送局から朝ドラ執筆の依頼があり、秋に大阪に担当チーフディレクターとプロデューサーに会いに行った。
放送は1年後からだが、現代劇なら震災はさけて通れないと言うことになり、神戸の被災地を取材したのだが、その時の衝撃は忘れられない。
狭い日本なのに、東京で認識されている神戸とはまったく状況が違ったからだ。
この話は何度もエッセイに書いているので繰り返さない。
結局この時の朝ドラは『ふたりっ子』になり、昭和40年代からの話で、震災を真正面から描くことは避けた。
しかし、被災者であったスタッフ達の話を聞くにつけ、また、『ふたりっ子』執筆中に知った、ままならない復興の様子に、これをいつかドラマにしなければという思いがつのるようになった。
そして書いたのが『終のすみか』という単発ドラマだ。NHK大阪放送局の制作で、スタッフの多くが被災者だった。
震災で生き残りはしたが、半倒壊のマンションを建て直すか補修するかで、住民同志の話し合いがつかず、仮住まいの借家とマンションの二重のローンを抱えて、離散してゆく家族を描いた。
そんな話は神戸にはそこここにあり、取材中も胸がつまった。
老人と子供が弱者だと言われるが、人生のまっただ中にあり、教育費のかかる子供を抱え、ローンを抱えた中年層の痛みは、誰も気づかない。そのことに怒りさえ覚えた。
このドラマは神戸地区では評判が高かったが、全国的には話題になるほどのこともなく、参加した芸術祭でも賞にもれた。
私は“賞”というものは、一生懸命いい作品を作った後に、ひょっこりついて来るもので、積極的に望むものではないと思っていたが、この作品だけは“賞”を取りたかった。取って何度も放送され、震災4年後、7年後、10年後と続編は作れるようにと願ったからだ。しかし、その願いはかなわなかった。
毎年1月17日になると、取材した人達は今どうしておられるのかと思う。
思っても何ができるでもなく、思い出すのも1年に1度で、偉そうなことも言えないが、14年前、崩壊した神戸の町を歩いて感じた、知らないということの恐ろしさが、今も私の心の中でうずいている。
誰もが何でも知り得るのは不可能であるなら、ドラマで知ってもらうことは出来る。私達の仕事には重い使命があるのではないかと、あの頃、考えたものだ。
今も1月17日になると考える・・・。

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